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遺言書の作成方法とは?不動産を指定して相続トラブルを防ぐコツ

相続

荒谷 和博

筆者 荒谷 和博

不動産キャリア9年

自分に正直に、他人に親切にがモットーです!

相続の場面で、最も揉めやすい財産の1つが不動産です。
遺言書の作成方法を誤ったり、不動産の指定をしていなかったりすると、相続人同士の話し合いが長期化し、関係の悪化や手続きの遅れにつながりかねません。
一方で、あらかじめ遺言書で不動産の帰属を明確に指定しておけば、相続トラブルを避けたい方・すでに問題が生じており解決したい方のどちらにとっても、大きな助けとなります。
この記事では、遺言書で不動産を指定する際の基本から、具体的な作成方法、内容の工夫や注意点、保管と見直しのポイントまでを、初めての方にも分かりやすく整理して解説します。
自分の大切な不動産を、誰にどのように引き継ぐかをしっかり考えたい方は、ぜひ読み進めてみてください。

相続トラブルを防ぐ遺言書と不動産指定の基本

遺言書は、相続人の範囲や取得させたい財産を明確に示すことで、相続を巡る争いを防ぐ有力な手段とされています。
特に不動産は、生活の基盤であり金額も大きいため、誰が取得するのかが不明確なまま相続が発生すると、感情的な対立が生じやすいものです。
また、不動産の相続登記が行われないまま放置されると、長期にわたり名義が変わらず、売却や担保設定などの手続きができずに大きな支障が出ると法務省も指摘しています。
そのため、生前に遺言書で不動産の取得者を決めておくことが、相続トラブル防止と相続登記の円滑な実施につながります。

相続トラブルを避けたい場合には、まず遺言書が果たす役割を整理しておくことが大切です。
遺言書では、法定相続分とは異なる割合で相続分を指定したり、特定の不動産をどの相続人に取得させるかを定めたりすることができます。
このように、遺言書によって相続分と不動産の帰属を具体的に示しておけば、相続人同士で一から話し合って取り分を決める必要が減り、協議の負担や感情的な対立を抑えやすくなります。
さらに、遺言執行者を定めることで、遺言内容を実現するための手続きも進めやすくなります。

遺言書がある場合とない場合とでは、その後の相続手続きの流れも大きく異なります。
遺言書がないときには、相続人全員で遺産分割協議を行い、不動産を誰がどのような形で取得するかを話し合って決めなければなりませんが、意見がまとまらないと協議が長期化し、その間は相続登記も進まず不動産の活用ができない状態が続きます。
特に相続人が多数いる場合や、被相続人と同居していた相続人と別居していた相続人との間で思いが対立している場合には、不動産の評価や利用方針を巡って協議が難航しやすくなります。
一方で、有効な遺言書があり不動産の行き先が明確であれば、原則として遺言の内容に従って手続きを進めることができるため、話し合いの範囲を大きく減らすことができます。

比較項目 遺言書がある場合 遺言書がない場合
不動産の取得者 遺言書で明示 協議で決定
相続人同士の負担 協議範囲が限定 話合いが長期化
相続登記の進み方 手続きが円滑 未了で凍結懸念

不動産を指定して遺言書を作成する具体的な手順

不動産を誰に承継させるかをはっきりさせたい場合、まず検討したいのが遺言書の方式です。
代表的なものが、自ら全文を書く自筆証書遺言と、公証人が関与する公正証書遺言です。
自筆証書遺言は手軽に作成できますが、記載不備や紛失のリスクがあるため、近年は法務局での保管制度を利用する方法も用意されています。
これに対して、公正証書遺言は費用がかかるものの、公証人が内容や方式を確認するため、不動産を指定する場面では安心感が高いといえます。

次に、不動産を指定する際は、どの物件かが一意に分かるように記載することが重要です。
一般に、登記事項証明書に記載されている所在、地番、地目、地積、家屋番号、種類、構造、床面積などを参考にして、遺言書の本文または財産目録に写し取ります。
財産目録は、自筆に限らず、印刷した一覧や登記事項証明書の写しを添付する方法も認められており、その全ページに署名押印することで有効に作成できます。
このように、不動産の特定と財産目録の作成を丁寧に行うことで、相続人同士の解釈の違いを防ぐことにつながります。

そして、誰にどの不動産を承継させるかを決める段階では、相続人や受遺者ごとの生活状況や将来の管理能力を踏まえて、無理のない割り振り方を検討することが大切です。
遺言書の文言としては、法定相続人に対しては「相続させる」、相続人以外の人に対しては「遺贈する」といった表現を用いるのが一般的です。
また、特定の不動産を単独で取得させるのか、持分を定めて共有とするのか、将来の売却や利用方法まで見据えて記載することで、相続発生後の話し合いを円滑にしやすくなります。
さらに、必要に応じて代償金の負担なども合わせて定めておくと、全体として公正感のある内容になりやすくなります。

手順 主な確認事項 不動産指定のポイント
方式の選択 自筆証書遺言か公正証書遺言か 費用と安心感のバランス
不動産の特定 登記事項証明書の内容確認 所在地や地番等を正確記載
割り振りの決定 相続人や受遺者の状況把握 「相続させる」「遺贈する」の使い分け

相続トラブルを避けるための遺言内容の工夫と注意点

不動産を指定する遺言書では、相続人の遺留分や全体の公平感に十分配慮することが大切です。
不動産は価値が高く、他の預貯金などと比べて分けにくいため、一部の人だけが不動産を取得すると不満が高まりやすくなります。
そのため、不動産を特定の相続人に承継させるときには、他の相続人には預貯金など別の財産を多めに配分したり、代償金の支払いを検討したりすることで、全員の納得感を高めやすくなります。
こうした配慮を事前にしておくほど、遺言書の内容を巡る争いは起こりにくくなります。

不動産を共有名義にするか、特定の人の単独名義にするかも、将来の管理や売却を見据えて慎重に検討する必要があります。
共有名義は一人あたりの取得割合を柔軟に決められる一方で、売却や大きなリフォームなどの際に共有者全員の同意が必要となり、意見が割れると手続きが進まないおそれがあります。
単独名義にしておけば意思決定はしやすくなりますが、他の相続人との公平性に配慮しておかないと、不満や遺留分侵害額請求につながる可能性があります。
どちらの方法にも長所と短所があるため、管理能力や今後の利用予定などを踏まえて決めることが重要です。

遺言書の内容そのものについても、あいまいな表現を避け、定期的に見直すことが相続トラブルの防止につながります。
不動産について「自宅」などの抽象的な言葉だけで記載すると、どの不動産を指すのか解釈を巡って争いになるおそれがあります。
また、遺言書作成後に不動産を売却したり、家族構成が変わったりしているのに見直しをしていないと、実情に合わない内容となり、かえって紛争の火種になります。
そのため、不動産の表示は登記事項に基づき正確に記載し、家族や財産の状況が変わったときには内容を確認し、必要に応じて新たな遺言書を用意することが望ましいです。

検討項目 工夫のポイント 注意点
遺留分と公平感 他の財産との全体調整 一部相続人への偏りに注意
共有か単独か 将来の管理・売却を想定 意思決定のしやすさを確認
記載内容の明確さ 登記事項に基づく特定 あいまい表現と古い内容

安心して相続を迎えるための保管・見直しと専門家活用

不動産を指定した遺言書は、内容だけでなく保管方法も相続トラブル防止の重要なポイントになります。
自筆証書遺言については、法務局で原本を預かる自筆証書遺言書保管制度を利用することで、紛失や改ざんの危険を抑えやすくなります。
公正証書遺言であれば原本は公証役場で保管されるため、相続開始後に遺言書が見つからないという事態も避けやすくなります。
いずれの方式でも、不動産の所在が分かる資料とあわせて整理し、相続人が遺言書の存在と保管場所を把握できるようにしておくことが大切です。

遺言書は一度作成して終わりではなく、家族や不動産を取り巻く状況の変化に応じて見直すことが欠かせません。
たとえば結婚や離婚、相続人となる方の増減、不動産の売却や買い替えがあった場合には、遺言内容と実際の財産内容にずれが生じやすくなります。
そのままにすると、不動産の記載が実情に合わず、相続人間で解釈が分かるおそれがあります。
そのため、数年に1度程度の定期的な確認に加え、こうした大きなライフイベントの際には、不動産の指定が適切かどうかを意識して見直すことが望ましいです。

不動産を含む遺言や相続については、内容や家族構成によって相談すべき専門家が異なります。
一般に、相続人同士の紛争や複雑な権利関係が想定される場合は弁護士、相続登記など不動産の名義変更を確実に進めたい場合は司法書士、相続税や不動産の評価額の確認が必要な場合は税理士が主な相談先とされています。
不動産に強い相談先を選ぶためには、遺言書や相続登記の実務経験が豊富であること、相続人の意向や不動産の活用方針も踏まえて提案してくれることなどを確認することが大切です。
自ら判断するのが難しい場合には、まず不動産に詳しい専門家に全体像を相談し、必要に応じて他の士業とも連携してもらう方法も有効です。

場面 主な相談先 確認したいポイント
不動産指定の遺言作成 弁護士・司法書士 相続人間の公平性
不動産の名義変更手続 司法書士 相続登記の必要書類
相続税や評価額の検討 税理士 不動産評価と税負担

まとめ

不動産をきちんと指定した遺言書があれば、相続人どうしの話し合いが長引いたり、関係が悪化したりするリスクを大きく減らせます。
遺言書の方式や文言の選び方、不動産の特定方法、共有や単独名義の決め方など、押さえるべきポイントは少なくありません。
当社では、不動産に関する相続トラブルを避けたい・解決したい方に向けて、状況を丁寧にお伺いし、遺言書作成や見直しの進め方をご提案します。
「自分の場合はどう指定するのが良いか」を知りたい方は、ぜひ一度お気軽に当社へご相談ください。

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