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相続税対策で不動産活用は有効か?相続税を抑える不動産の使い方を解説

相続

荒谷 和博

筆者 荒谷 和博

不動産キャリア9年

自分に正直に、他人に親切にがモットーです!


相続税の負担をできるだけ抑えたいが、何から手を付ければよいのか分からないという声は少なくありません。
現金で持つべきか、不動産として活用すべきかは、相続税評価額に大きく影響する重要なポイントです。
一方で、節税効果だけを聞きかじって不動産を取得すると、将来の資金繰りや空室リスクなど、思わぬ負担を抱えることもあります。
そこで本記事では、相続税対策として不動産を活用する際の基本的な仕組みから、具体的な活用方法、注意したいリスク、そして事前に確認しておきたいポイントまでを分かりやすく整理します。
これから相続税や節税対策を検討する方が、自分や家族にとって無理のない不動産活用を考えるきっかけとして、ぜひ参考にしてください。

相続税対策で不動産活用が注目される理由

相続税では、現金や預貯金は原則として残高と同じ金額がそのまま相続税評価額になります。
一方で、土地は国税庁が公表する路線価や倍率方式により評価され、一般的に時価よりも低い水準になることが多いとされています。
建物も固定資産税評価額を基に評価されるため、同じ金額の現金を持つ場合と比べると、課税対象となる評価額が抑えられやすい仕組みです。
このように、評価方法の違いから現金より不動産の方が相続税対策として有利になりやすいことが、不動産活用が注目される大きな理由です。

土地の相続税評価額は、路線価地域では路線価に面積を乗じて求め、路線価がない地域では固定資産税評価額に国税庁が定める倍率を掛けて算出します。
路線価は、相続税や贈与税のために国税庁が毎年公表しているもので、時価のおおむね8割程度を目安として設定されているとされています。
建物については、固定資産税評価額に基づいて評価する方法が採られており、建築費や取得価額よりも評価額が低くなるケースも少なくありません。
このような評価の仕組みにより、同じ時価ベースの資産でも、現金より土地や建物の方が相続税評価額は下がりやすい傾向があります。

相続税対策として不動産活用を検討する際には、「相続税評価額」や「時価」「課税価格」といった基礎用語を整理しておくことが重要です。
相続税は、被相続人から引き継いだ財産を相続税評価額に引き直し、債務や葬式費用などを差し引いた課税価格の合計から、法定相続人の数に応じた基礎控除額を差し引いた残額に対して課税されます。
このとき、現金は額面どおり評価される一方で、土地や建物は前述のとおり評価方法により圧縮される可能性があるため、同じ時価でも相続税評価額が大きく異なる点を理解しておく必要があります。
まずは、現金と不動産で評価額がどのように変わるのか、その仕組みを把握することが、不動産活用による相続税対策の出発点になります。

資産の種類 主な評価方法 相続税対策上の特徴
現金・預貯金 残高そのまま評価 時価と評価額が同額
土地 路線価方式・倍率方式 時価より低い評価になりやすい
建物 固定資産税評価額 取得価額より低い評価の例

相続税の負担軽減に役立つ不動産活用の具体策

相続税対策として代表的なのが、賃貸用不動産を取得または建築し、相続税評価額を抑える方法です。
土地は賃貸用建物を建てることで自用地より評価が下がり、建物も賃貸用であることで固定資産税評価額を基にした評価となります。
さらに、貸家や貸家建付地の評価では、借家人の権利などを考慮した一定の控除が認められています。
このように、現金で保有している場合と比べて評価額が低くなりやすいため、相続税の負担軽減策として活用されているのです。

次に、税制上の優遇措置として重要なのが、小規模宅地等の特例です。
この特例は、被相続人の居住用や事業用など一定の要件を満たす宅地について、相続税の課税価格に算入する評価額を大きく減額できる制度です。
例えば、被相続人の居住の用に供されていた宅地については、一定の面積まで評価額を大幅に減額できる規定が設けられています。
自宅や事業用不動産を相続する場合、この特例の適用可否や要件を事前に確認しておくことが、相続税の負担を抑えるうえで大切です。

また、生前から不動産を活用する相続税対策として、資産の組み替えや贈与制度の活用も検討されます。
現金や有価証券をそのまま保有するのではなく、賃貸用不動産など相続税評価額が圧縮されやすい資産へ組み替えることで、将来の相続税額を抑えることが期待できます。
さらに、生前贈与を用いて不動産やその取得資金を計画的に移転する方法もあり、贈与税の非課税枠や特例を活用することで、長期的な相続税対策につなげることが可能です。
ただし、どの方法も贈与税や所得税との関係、将来の管理負担などを踏まえて、総合的に検討することが重要です。

対策の種類 主な内容 期待できる効果
賃貸用不動産の取得 貸家・貸家建付地による評価減 相続税評価額の圧縮
小規模宅地等の特例 自宅・事業用宅地の評価減 自宅等承継時の税負担軽減
資産の組み替え・贈与 現金から不動産への転換 長期的な相続税対策

相続税や節税を意識した不動産活用の注意点・リスク

相続税対策として不動産を取得した場合でも、空室が続けば家賃収入が想定より少なくなり、ローン返済や維持管理費の負担が重くなるおそれがあります。
また、大規模修繕や設備更新など、長期的には予想以上の支出が発生する可能性もあります。
さらに、不動産市場の動向によっては、将来の売却価格が購入時より下がり、資産全体のバランスを崩すリスクもあります。
このように、相続税評価額の圧縮効果だけで判断せず、収支計画や資金繰りの安全性を慎重に検討することが重要です。

相続税の節税効果だけを優先して不動産を増やし過ぎると、相続発生後の納税資金を現金で用意しにくくなる場合があります。
不動産は分割しにくいため、相続人ごとの取り分を巡って意見が対立し、遺産分割協議が長期化することも少なくありません。
場合によっては、納税や分割のために急いで売却せざるを得ず、希望より低い価格で手放す結果につながることもあります。
そのため、相続人の人数や希望を踏まえ、分割のしやすさや納税資金の確保方法も含めて不動産の持ち方を考える必要があります。

相続税対策として不動産を活用する際に、過度な節税だけを目的としたスキームに依存すると、税制改正の対象となったり、税務調査で否認されたりするリスクがあります。
過去には、相続税の計算上有利になるよう不動産を過大に活用する手法が問題視され、その後の制度見直しにつながった事例もあります。
また、形式的にはルールを満たしていても、経済的実態が伴わないと判断されれば、想定どおりの評価減が認められない可能性があります。
相続税や関連する通達、特例の運用は見直されることがあるため、最新の制度を確認しつつ、無理のない範囲で計画的に不動産を活用することが大切です。

注意すべきリスク 相続時の影響 事前に考えたい対策
空室・家賃下落による収支悪化 ローン返済負担の増加 余裕ある返済計画の検討
不動産偏重による納税資金不足 納税や分割のための急な売却 現金や預貯金の確保
税制改正・税務調査のリスク 想定どおりの節税効果喪失 過度な節税スキームの回避

相続税対策で不動産を活用する前に確認したいポイント

相続税対策として不動産の活用を検討する前に、まずご家族の状況を丁寧に整理しておくことが大切です。
具体的には、誰が相続人になるのか、各相続人が将来どのような生活設計を望んでいるのかを確認しておく必要があります。
あわせて、現金や預貯金、有価証券、不動産など保有資産の種類と概算額、負債の有無を一覧にしておくと、全体像をつかみやすくなります。
この段階で整理しておくことで、不動産活用が本当に有効かどうかを判断しやすくなります。

次に、相続税がどの程度発生しそうか、おおまかな水準を把握しておくことが重要です。
相続税には「相続税の基礎控除」があり、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算する仕組みが設けられています。
まずは、整理した遺産総額がおよそどの程度になりそうかを見積もり、この基礎控除額を超えそうかどうかを確認します。
また、相続税の申告が必要かどうかを判断する際には、国税庁の「相続税の申告要否判定コーナー」を参考にする方法もあります。

さらに、不動産を活用した相続税対策だけに偏らず、他の方法との比較検討も欠かせません。
例えば、生命保険の活用や生前贈与の利用など、相続税の負担軽減に役立つ制度が複数用意されています。
どの手段を重視すべきかは、家族構成や資産の内容、将来の住まい方によって大きく異なります。
そのため、税務や相続に詳しい専門家に相談しながら、自分たちに合った節税と資産承継の進め方を考えることが重要です。

事前に整理したい項目 確認する主な内容 不動産活用との関係
家族構成と相続人 法定相続人の人数と関係 基礎控除額や分割方針に影響
保有資産と負債 資産種類と概算評価額一覧 不動産活用の必要性を判断
相続税の概算額 基礎控除超過の有無の確認 相続税対策の優先度を把握

まとめ

相続税対策として不動産を活用すると、現金より相続税評価額を抑えやすく、節税につながる可能性があります。
一方で、空室リスクや資金繰り、将来の売却や分割のしにくさなど、注意すべき点も少なくありません。
だからこそ、家族構成や資産全体のバランス、将来のライフプランを踏まえたうえで、無理のない計画を立てることが重要です。
当社では、相続税や不動産活用の基本から丁寧にご説明し、お客様ごとの状況に合わせた対策をご提案いたします。
相続税や不動産のことで少しでも不安や疑問があれば、お気軽に当社へご相談ください。

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