不動産相続の評価額はどう決まる?調べ方と注意点を解説の画像

不動産相続の評価額はどう決まる?調べ方と注意点を解説

相続

荒谷 和博

筆者 荒谷 和博

不動産キャリア9年

自分に正直に、他人に親切にがモットーです!


不動産を相続することになったものの、評価額の調べ方が分からず不安を抱えていませんか。
相続税や遺産分割の話を進めるには、不動産の評価額と時価を整理して理解しておくことがとても大切です。
しかし専門用語も多く、どの情報を信じて良いのか迷う方も少なくありません。
そこで本記事では、不動産相続における評価額の考え方と、土地や建物ごとの具体的な調べ方を、できるだけ分かりやすく解説します。
さらに、評価額をどう相続の話し合いや納税資金の準備に活かすかという実務的なポイントまで順を追って紹介します。
不動産の相続で迷いや不安を感じている方は、まず全体像をつかむつもりで読み進めてみてください。

不動産相続の評価額と「時価」の基本

不動産を相続するときには、同じ土地や建物であっても「相続税評価額」と「実勢価格(時価)」という異なる金額が存在します。
相続税評価額は、国税庁が公表する財産評価基準書に基づき、路線価や評価倍率表などを用いて算定される、相続税や贈与税を計算するための金額です。実勢価格(時価)は、国土交通省が公表する不動産価格指数などにも表れるように、市場で実際に取引されている価格水準を指します。このように、税務上の評価と市場価格は目的も算定方法も異なるため、相続の検討にあたっては両者の違いを意識して整理しておくことが重要です。

相続税評価額が必要となる典型的な場面としては、まず相続税の申告の有無を判定し、申告書を作成するときが挙げられます。
国税庁が案内しているとおり、被相続人から取得した財産の課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合には、相続税の申告が必要となり、その計算の前提として不動産の相続税評価額を把握しなければなりません。また、遺産分割協議で不動産と預貯金などをどのように分けるか検討する際にも、評価額を揃えて比較するために相続税評価額が手がかりになります。
さらに、将来の二次相続や長期的な相続税負担を見据えて資産構成を検討する場合にも、現時点の相続税評価額を把握しておくことが、対策を進めるうえでの基礎資料となります。

不動産の評価額を誤ると、相続税の負担や相続人間の心理的な不公平感につながりやすくなります。
例えば、本来より低い評価で申告した場合には、税務調査で指摘を受けて追徴課税や加算税が課されるおそれがあり、結果として負担が重くなる可能性があります。反対に、実勢価格に比べて不動産の相続税評価額ばかりを重く見積もってしまうと、遺産分割で他の財産とのバランスが崩れ、特定の相続人が不利益だと感じる原因にもなります。
さらに、評価額に見合った納税資金や将来の売却見通しを検討しておかないと、納税資金が不足してから慌てて不動産を売却せざるを得ないといった事態にもつながりかねません。

項目 相続税評価額 実勢価格(時価)
主な目的 相続税・贈与税計算 売買や担保の判断
算定の基準 路線価・評価倍率等 実際の取引事例水準
利用される場面 相続税申告・遺産分割 売却価格決定・市場分析

土地の相続税評価額の具体的な調べ方

土地の相続税評価額を自分で確認するには、まず路線価方式の基本を押さえることが大切です。
路線価方式とは、国税庁が毎年公表する「財産評価基準書」に掲載された道路ごとの価格(路線価)を基に、土地の相続税評価額を計算する方法です。
国税庁のホームページでは、最新年分を含む複数年分の「路線価図」が公開されており、住所や地図から該当する道路を選んで確認できます。
この路線価図で自分の土地が面している道路の路線価(㎡当たり)を見つけ、地積と各種補正を掛け合わせて評価額を求めていく流れになります。

路線価図で実際に調べる際は、いくつかの手順を踏むと迷いにくくなります。
最初に国税庁ホームページの「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」のページを開き、評価したい年分を選択します。
次に、都道府県や市区町村などの区分を順に選び、地図上で対象土地の所在地付近を拡大して、土地が接している道路に記載された数値(千円単位の路線価)を確認します。
その路線価を基準として、必要に応じて奥行価格補正率などの調整率表を参照しながら、㎡数を掛け合わせて概算の相続税評価額を算出していきます。

一方で、路線価が設定されていない地域では倍率方式により土地の評価を行います。
倍率方式は、市区町村が通知する固定資産税評価額に、国税庁の「評価倍率表」に記載された倍率を掛けて相続税評価額を求める方法です。
固定資産税評価額は、毎年送付される固定資産税の課税明細書や、役所の窓口での閲覧・証明書の取得などで確認できます。
そのうえで、国税庁ホームページの「評価倍率表」から該当する地域・地目の倍率を調べ、固定資産税評価額に倍率を乗じた金額を目安として把握しておくと、相続税の検討や遺産分割の準備が行いやすくなります。

評価方式 主な利用地域 調べる際の基本資料
路線価方式 路線価が定められた地域 国税庁路線価図
倍率方式 路線価のない地域 評価倍率表
共通して必要な情報 地積や地目の確認 固定資産税課税明細書

建物・マンションなど家屋の評価額の調べ方

建物の相続税評価額は、原則として固定資産税評価額をそのまま用いることになっています。
固定資産税評価額は、市町村から毎年送付される固定資産税の課税明細書や固定資産税納税通知書で確認できます。
また、多くの市町村では固定資産課税台帳の閲覧制度があり、所有者や利害関係人が窓口で評価額を確認することも可能です。
このように、建物の評価額は公的な資料を通じて把握できる仕組みになっているのが特徴です。

区分所有のマンションやアパートの専有部分も、建物部分の相続税評価額は固定資産税評価額を基礎に考えます。
ただし、共用部分の持分が専有部分に按分されて固定資産税評価額に反映されているため、登記簿上の床面積だけで単純に割り戻して計算しないよう注意が必要です。
さらに、同じ建物内でも階数や方角、日照条件などにより市場での売買価格が異なる一方、固定資産税評価額は画一的な算定となる場合があります。
そのため、遺産分割の協議では相続税評価額と実際の取引相場の違いを意識して整理することが大切です。

建物は年数の経過に伴い老朽化し、国が定める固定資産評価基準に基づいて一定のサイクルで評価替えが行われることで、固定資産税評価額も見直されます。
設備の更新や大規模修繕が行われた場合、耐用年数や残存価値の評価に影響し、結果として固定資産税評価額が変動することがあります。
一方で、市場での売買価格は周辺の需要や立地条件、建物の管理状況など、多くの要因で上下し、必ずしも固定資産税評価額と同じ動きをするとは限りません。
したがって、相続税の計算だけでなく、将来の売却や賃貸活用を検討する際には、評価額と市場価格の両方を確認する姿勢が重要です。

項目 確認先 注意したいポイント
建物の固定資産税評価額 課税明細書・納税通知書 名義人と所在地の一致確認
マンション専有部分の評価 固定資産課税台帳 共用部分持分を含む金額
老朽化や修繕状況 修繕履歴・管理組合資料 評価額と市場価格の差異把握

不動産相続で評価額を活かす実務ポイント

不動産の相続では、まず相続税評価額を把握し、その金額を基準に遺産分割や納税資金の計画を立てることが重要です。
評価額が明らかになると、現金や有価証券とのバランスを見ながら、誰がどの不動産を取得するのか整理しやすくなります。
また、将来売却する可能性がある場合には、売却見込み価格と相続税評価額の差を意識し、売却後の税負担も含めて検討する必要があります。
このように、評価額は「分け方」と「納め方」を考える起点となる数字です。

相続税の負担を軽減できる制度として代表的なものが、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例です。
国税庁の案内によれば、一定の条件を満たす居住用や事業用の宅地について、最大で評価額の80%を減額できる仕組みが設けられています。
対象となる面積の上限や、相続人がその土地を引き続き居住や事業に使うことなど、細かな要件がある点には注意が必要です。
要件に合致するかどうかで相続税額が大きく変わるため、評価額を算出するときから特例の適用可能性を意識しておくことが大切です。

不動産相続は評価方法や特例の要件が複雑なため、自分だけで判断せず、早めに専門家へ相談することが安全です。
相談の前には、固定資産税の課税明細書や納税通知書、不動産の登記事項証明書、相続人の続柄が分かる資料などを整理しておくと、説明がスムーズになり、検討すべき特例や節税策を漏れなく確認しやすくなります。
また、国税庁が公表する財産評価基準書や相続税の手引きも、評価額の算定や制度の全体像を理解するうえで役立ちます。
こうした資料を基に、相続開始前から準備を進めておくことで、申告期限までに落ち着いて手続きを進めやすくなります。

検討の視点 具体的な確認内容 主な参考資料
遺産分割と納税資金 誰がどの不動産を取得するか、納税原資の確保方法 相続税評価額、預貯金残高一覧
評価減の特例活用 小規模宅地等の特例の要件該当性と適用面積 国税庁の解説、財産評価基準書
相談準備と資料整理 固定資産税関係書類や登記事項証明書の収集 税務署案内、法務局案内

まとめ

不動産の相続では、相続税評価額と時価の違いを理解し、正しく評価額を把握することがとても重要です。
評価額を誤ると、相続税が想定より高くなったり、遺産分割で不公平感が出たり、納税資金が足りないなどのトラブルにつながります。
土地や建物の評価額は、ご自身でもある程度調べられますが、補正や特例の判断には専門的な知識が必要です。
「うちの場合はいくらくらいになるのか」「どのように分ければよいか」と不安を感じた段階で、ぜひ当社へご相談ください。
状況を丁寧にお伺いし、評価額の確認から相続後の活用まで、わかりやすくサポートいたします。

お問い合わせはこちら

”相続”おすすめ記事

  • 相続税対策で不動産活用は有効か?相続税を抑える不動産の使い方を解説の画像

    相続税対策で不動産活用は有効か?相続税を抑える不動産の使い方を解説

    相続

  • 兄弟で不動産を相続してもめない方法は?相続トラブルを防ぐ具体的手順を解説の画像

    兄弟で不動産を相続してもめない方法は?相続トラブルを防ぐ具体的手順を解説

    相続

  • 遺言書の作成方法とは?不動産を指定して相続トラブルを防ぐコツの画像

    遺言書の作成方法とは?不動産を指定して相続トラブルを防ぐコツ

    相続

  • 不動産の相続手続きはどう進める?流れと注意点を解説の画像

    不動産の相続手続きはどう進める?流れと注意点を解説

    相続

  • 共有名義の不動産相続で起こるトラブルとは?事前対策と解決策を専門家が解説の画像

    共有名義の不動産相続で起こるトラブルとは?事前対策と解決策を専門家が解説

    相続

  • 相続放棄するべきか迷うケースとは?不動産トラブルを防ぐ判断基準を解説の画像

    相続放棄するべきか迷うケースとは?不動産トラブルを防ぐ判断基準を解説

    相続

もっと見る